はじめに

こんにちは。トランジェンのHです。ここではトランジェンが持つ技術的な情報を掲載します。前回はタグを保護する「タグ化」についてお伝えしました。今回はタグ以外で保護したい(翻訳対象外にしたい)文章があるときにはどうすれば良いかについてお伝えします。

サンプル

前回使用した文章を再びここに掲載します。

このAAAの部分ですが、ここでは製品名であり翻訳対象外にしたいのです。つまりはここが「AAA」と全角になったり「あああ」と日本語になっても困るのです。

文書を翻訳対象外にする理由

もしマニュアルでUIを翻訳していたら項目にたどりつけない。マニュアル上で[Open…]とあっても[開く]とは翻訳してはいけないのだ。
何より重要なのは翻訳対象外に設定すれば依頼者の意図しない翻訳を避けることができるということです。さらに翻訳対象のワードカウントが減るという効果があります。本来は翻訳対象ではない文章がワードカウントに含まれることにより、翻訳料金や翻訳者の手間が増大するのは、できるならば避けたいのが自然な欲求です。翻訳対象外に設定できれば、翻訳者の翻訳すべきワード数は減り依頼者は予期しない翻訳に惑わされずにすみます。 翻訳対象外にしたい文章は数多くあります。前回のお伝えしたタグの保護によって文章中に混じるコードを翻訳対象から外すことは出来ましたが、タグ以外の文章でも今回のサンプルのように製品名であったり、マニュアルであるならば機器の項目名などは翻訳されては説明されたボタンを機器に見つけることができなくなってしまいます。この項目名はユーザインタフェース、略してUIと翻訳業界では呼ばれてます。UIは翻訳対象外にしたい、この要求は当然であり実現しなければならない重要事項です。

Tradosはタグ内の文章を翻訳対象外にできる

翻訳対象外に設定するためにはタグに囲まれていなければなりません。Tradosはタグの設定により、タグに囲まれた文章を翻訳対象外とします。翻訳対象外にするにも目印がなければいけません。そのための目印がタグなのです。そのため事前に翻訳対象外に設定したい文章はタグにで囲っておく必要があります。この工程があらかじめ行われているのか、行われていない場合にはタグで囲うコストと、意図しない翻訳がなされるリスクを天秤に掛けることになるでしょう。

Tradosで翻訳対象外に設定する

ここではHTMLファイルの場合について説明します。 ホームから「プロジェクトの設定」をクリックして「プロジェクトの設定」ウィンドウを開きます。「新規作成」ボタンをクリックして新しい「ファイルの種類」を作成します。

種類は「HTML」を選択します。

ファイルの種類の情報を設定します。ここではsampleとしました。「次へ」ボタンをクリックします。

「検索対象」に今回翻訳対象外としたいタグを入力します。サンプルではstrongタグで囲まれているので、strongと入力しました。次に「編集」ボタンをクリックして、タグの設定へ移ります。

プロパティの「翻訳」で「翻訳対象外」を選択します。これでタグに囲まれた文章が翻訳対象外となりました!「OK」をクリックしてTradosに戻り、もう一度翻訳ファイルを作成します。

結果

strongタグに南京錠のアイコンが付き、タグ内の文字の色が灰色になりました。これでstrongタグの開始からstrongタグの終わりまでが一つのタグのように扱われます。そのことによって、タグ内の文章を含めてあたかもひとつのタグのように扱えます。訳文にこのタグがないとTradosはタグの数が違うというエラーを出します。これによって翻訳対象外としたタグが訳文に必須であり、かつタグの中の文章は翻訳されない、という当初の目的が達成されました。


次回は今回紹介したタグの設定で翻訳対象にすることについてのTradosの癖について解説します。実は今回と前回の2本の記事は次回のための基礎知識的内容でした。次回は少し高度な内容についての解説となりますが是非ご覧ください。 それではまた。

Tradosのタグの扱いについて ~タグに囲まれた文を保護する~

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