こんにちは。トランジェンのHです。ここではトランジェンが持つ技術的な情報を掲載します。番外編として、前回まで解説したタグの順番の問題はOmegaTではどうなっているのかについて調べましたので、それについてお伝えします。
OmegaTとは?

OmegaTは、Javaで記述されたコンピュータ翻訳支援ツールである。2000年にKeith Godfreyにより開発され、現在はDidier Brielらにより開発が進められている、自由に使える、改変できるソフトウェアである。
以上はWikipediaにあるOmegaTについての記事からの引用です。要するにフリーの翻訳ソフトです。
WikipediaによればTradosユーザー数の1/8がOmegaTを使用しているそうです。
OmegaTでファイルを読み込む
OmegaTはそのままでは自由に定義したXMLファイルを読み込むことが出来ません。OmegaTで読み込めるXML形式は決まっていて、
- Flash の XML 出力
- Android リソース・ファイル
- DocBook
- XHTML
などです。そのため、XMLを読み込むには一度XLIFFに変換するとかXHTMLにするとかしないと読み込めません。自由にタグを定義して追加できたTrados利用者は翻訳ファイル追加の段階でつまずいてしまうと思います。
今回は、前回まで使用していたサンプルのXMLをXHTMLへ変換してOmegaTで翻訳することにしました。

これで翻訳ファイルとして読み込むことができました。
OmegaTでタグを翻訳対象外にする
Tradosではタグ一つ一つに対して翻訳対象外とかタグを文節に含める(インライン)とかいろいろ指定できましたが、OmegaTでは自由に定義したXMLを読み込めないことから推測出来るとおり、タグに対してそういった設定を行うことができません。
XHTMLなら次の手順で翻訳対象外に出来ます。
メニューバーの[設定]で[ファイルフィルター]ウインドウを開き、XHTMLを選択して[設定]ボタンをクリックして[XHTML フィルター設定]ウインドウを開きます。そこの[以下の属性と値をを持つタグは翻訳しない]の下の欄に属性と値を設定すれば、その属性と値を持つタグを翻訳対象外にできます。
サンプルのstrongタグの属性と値を次のようにしました。
Install <strong>AAA</strong> that is pre-installed in your <strong>BBB</strong> memory
この場合なら設定画面に[translation=no]と追加します。

これで前準備は完了です。では翻訳対象外となったXHTMLはどう表示されるのでしょうか。
翻訳対象外に設定した場合
strongタグのあった部分の中身が消えて、OmegaT上の変数である「」となっています。OmegaTではタグを翻訳対象外に設定すると中身が見えなくなってしまうという結果になりました。
これは制作者にとって翻訳対象外に設定するのは見えなくても変わらない場合を前提としているからだと思います。
ついでに訳文のタグ順序変更を許可するにはメニューバーから[設定]→[訳文におけるタグ順序の入れ替えを許可する]にチェックを入れれば、OKです。タグの順番は正しく記憶されます。
結論
OmegaTを初めて使用しましたがTradosとは大分違うソフトなのが分かりました。しかしタグの順番を入れ替えても正しく扱えるので、OmegaTを使うのも一つの手でしょう。プラグインを使用することで機能拡張を実現でき、他のソフトによって足りない部分を補えます。何と言ってもフリーなのは代えがたい魅力です。
もし、この方法以外でタグを翻訳対象にできたりしましたらコメントを頂けると幸いです。
余談ですが、OmegaT 3.x(現時点では開発版)からはタグの内容がツールチップに表示されるようになります。
コメントありがとうございます。試してみます。
OmegaTについてはまだ知らないことばかりなので、教えて頂き助かりました。